johncolo's diary

ジョン・コロ独り言から引っ越しました。

映画「夕凪の街 桜の国」を観た。

http://www.yunagi-sakura.jp/
やっと映画「夕凪の街 桜の国」を観た。いい映画だ。多くの人に見てもらいたい。
原作を読んだときの感想は、
http://d.hatena.ne.jp/johncolo/20070621
先に原作を読んでいたから、映画化はどうなるか心配していたが、佐々部清監督の演出でさらによい作品に仕上がった。原作がとても大切にされている。原作通りと行ってもよい。静かな映画だが、やはり見終わってからのテーマに対してふつふつを感情が沸き上がってくる。「核」の被害は即時的なものだけではないということ。静かに穏やかに前向きに平和を求めたい行きたいと願う。声高に言葉を発することができる人もいれば、胸に秘め続けながら想いを持ちつづける人もいる。
昭和33年の広島のスラム街のセットもよかった、ずっと映像に出てくる「不法占拠禁止」の看板がっとても気になった。弱者は川のそばにしか住処を持てない。これは現在でも言える。
広島のロケも印象に残る。とくに盂蘭盆会の墓地のシーンが美しい。
出演者も素敵だ。皆実役の麻生久美子は漫画のなかの皆実にとても近かったし、旭役の堺正章もよかった。一番のすばらしかったのは母親役フジミの藤村志保だ。この映画はフジミの映画でもある。
戦争、核(兵器だけではなく)と生命の連続性と明るさ。そして、今も残る「宿命による差別」を強く意識させられた美しい映画である。